法改正 在留資格「経営・管理」について

 このたび、上陸基準省令等の改正により、いわゆる「経営・管理」ビザの取得が非常に難しくなりました。

出入国在留管理庁のサイトから引用しています(https://www.moj.go.jp/isa/content/001448231.pdf)

①資本金の金額について

 改正前が500万円だったのに対し、6倍の3000万円が必要となりました。資本とは会社の元手になります。現実に出資者から切り離されて会社に出資されたお金になります。個人企業の場合は会社と違って資本金の概念がないため、事業所の確保や職員の給与(1年分)、設備投資のために必要なものとして投下される総額を指します。

②経歴、学歴(経営者)について

 新しい制度では、経営管理または申請に係る事業の業務にい必要な技術または知識に係る分野に関する博士、修士もしくは専門職の学位が必要となります。この場合は日本の学位でなくとも構いません。また前述学位に代えて、事業の経営または管理について3年以上の職歴でも構いません。3年以上の職歴が置かれたのは、旧制度の在留資格「経営・管理」の方々への配慮であると思われます。

➂常勤社員雇用義務について

 常勤社員とは、具体的には日本人、特別永住者としての在日台湾人、同在日韓国人、同在日朝鮮人、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の以上7つの在留資格者になります。

④日本語能力について

 日本語能力は「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上になります。具体的には以下の通りです。

・ 公益財団法人日本国際教育支援協会及び独立行政法人国際交流基金が実施する日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定を受けていること

・ 公益財団法人日本漢字能力検定協会が実施するBJTビジネス日本語能力テストにおいて400点以上取得していること

・ 中⾧期在留者として20年以上我が国に在留していること・ 我が国の大学等高等教育機関を卒業していること

・ 我が国の義務教育を修了し高等学校を卒業していること

 日本人と特別永住者以外は全員日本語能力の確認を受けます。

⑤事業計画の取り扱いについて

 在留資格決定時において提出する事業計画書について、その計画に具体性、合理性が認められ、かつ、実現可能なものであることを評価するものとして、経営に関する専門的な知識を有する者の確認を義務付けます。専門家の吟味によって、実現困難な事業は排除されることとなります。専門家としては、公認会計士、中小企業診断士、税理士になります。なお、提出書類の作成が弁護士か行政書士になっている点をご留意ください。仮に、事業が素晴らしいものであっても、業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合は、在留資格「経営・管理」に該当する活動を行うとは認められないものとして取り扱われるのでご注意ください。

 最後に、施行日後、改正後の許可基準に適合していない場合は、「経営・管理」、「高度専門職1号ハ」又は「高度専門職2号」(「経営・管理」活動を前提とするもの)からの永住許可及び「高度専門職1号ハ」から「高度専門職2号」への在留資格変更許可は認められません。

出入国在留管理庁サイト 在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について

https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html