在留資格「永住者」の概要

 在留資格「永住者」とは、法務大臣が永住を認めるものをいいます。日本入国時にダイレクトに「永住者」になることはできず、法務大臣が永住を認めるものだけが「永住者」になれます。

【「永住者」になるための要件:居住期間】

  • 日本人や永住者の配偶者である場合…婚姻期間が3年以上あり、直近の1年以上を日本に居住していること。
  • 在留資格「定住者」の在留資格で日本に住んでいる場合…5年以上日本に居住していること
  • その他の在留資格の場合…10年以上日本に居住しており、かつ直近の5年以上、就労可能な在留資格で居住していること

*在留資格「定住者」とは、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者をいいます。最近だとロシアに侵略されたウクライナ人を人道上の見地から最長5年の滞在を認めた例が該当します。

*なお、在留資格が「技人国」などであっても、日本人や永住者と結婚して3年以上経過、かつ、直近1年以上を日本で暮らしている場合は、永住者になるための要件に該当します。要件に該当しても法務大臣の裁量が大きいため、100%確実に永住者となれるわけではないので注意が必要です。

【経済的な安定条件】

 日本で生活してゆくためには安定した収入や資産が必要となります。一番大事なのは安定した収入です。外国人の間でよく耳にするのは独身なら年収300万円以上という話ですが、この300万円もあくまで独身なので妻帯者の場合はもっと条件が上がります。また年収300万円も下落トレンドになっているよりも上昇トレンドの方が入管の印象が良くなります。

 また仮に本人に安定収入がなくても同居している配偶者や親に安定収入や資産がある場合に永住資格を取得できる可能性がありますが、あくまで例外と考える方が無難だと思います。なお、本人が生活保護を受けている場合は、永住資格の取得は非常に難しくなるので、まずは生活保護から抜け出せるようにするのが先だと思います。

【素行が善良であること:前科、納税、年金など】

 素行の悪い外国人ご本人が飲酒運転動画やスピード違反動画をSNSにアップしてニュース等になるケースを見かけますが、永住資格を得るためには、素行が善良でなければなりません。前科だけでなく少年時代に少年法の保護処分歴なども判断材料になりますし、納税義務などの公的な義務を履行しているかどうかも判断材料になります。また自動車のスピード違反で重要な道路交通法違反に該当する行為をしたことがある申請者も減点対象となります。

前述のとおり、永住資格を認定するかどうかは法務大臣の裁量権の範囲なので、形式的な要件を満たすだけではなく、普段から日本社会と良好な関係を構築することをお勧めします。